世界のプロポーズ

96,000フィートの高みで、彼は指輪を宇宙へ捧げた~GPSが導く、運命のプロポーズ~

あなたは、プロポーズの指輪を宇宙まで飛ばす勇気がありますか。2020年8月、ミズーリ州の空で、ある空軍パイロットが驚くべきプロポーズを実行しました。B-2ステルス爆撃機を操縦するStuart Shippee大尉は、婚約指輪を気球に乗せて96,000フィート(約29,000メートル)の成層圏まで飛ばしたのです。

「気球が割れるまで、私の手は震えていた」

Shippee大尉は、気球実験を趣味としていた人物。気球に搭載した容器が高高度で割れ、GPSを使って回収するという実験を繰り返し行っていました。そして彼は、この技術を人生で最も大切な瞬間に活かそうと決めたのです。プロポーズ当日、彼はガールフレンドのMarie Lismanさんを連れて気球の打ち上げ現場へ。Marieさんは「軍のチャレンジコインを宇宙に送るだけだ」と思っていたそうですが、Shippee大尉は最後の瞬間にコインと指輪をすり替えました。気球は青い空を抜け、成層圏で割れ、指輪はパラシュートとGPSの力を借りて、近くのトウモロコシ畑へと舞い降りました。「気球を膨らませている間、私の手は震えていた。圧倒的な緊張感の中で、すべてが失敗する可能性もあった。」Shippee大尉は後にそう語っています。実際、ヘリウムの世界的な不足や、天候の影響で指輪が隣国のカナダに落下する可能性もあったのです。でも、彼は賭けに出た。愛する人のために、世界の果てまで指輪を運んでみせたかったから。

「彼女が容器を手に取ったとき、私は膝をついた」

気球のペイロードがトウモロコシ畑に着地した後、Shippee大尉と友人たちはGPSの信号を頼りに、Marieさんより先に現場を発見。そして彼女に容器を手渡しました。中には見せかけの指輪が飾られていましたが、その瞬間、Shippee大尉は膝をつき、本物の指輪を差し出したのです。

カルガリーの青年も、同じ空を目指した

同じようなプロポーズを2015年に行ったのが、カナダ・カルガリーのShawn Wrightさん。彼も婚約指輪を気球に乗せ、成層圏まで飛ばしました。GoProカメラでその軌跡を記録し、GPSで300km離れた場所から指輪を回収。彼女に木箱に入ったラップトップを渡し、指輪の宇宙旅行を映像で見せてからプロポーズしたのです。「彼女が特別でユニークな存在であるように、指輪も特別でユニークなものであってほしかった。」Wrightさんはそう語っています。20年間の付き合いを経て、Facebookで再会し6年の交際を経た二人。彼は指輪を失うリスクを冒してでも、その思いを形にしたかったのです。

指輪を落とした牧師の7日間

一方、2009年には少し違う「気球プロポーズ」もありました。オハイオ州のJames Ng牧師は、熱気球の中でプロポーズしようとしたところ、カメラケースから指輪を落としてしまいました。指輪は約150メートル下の森へ。彼はGoogleマップで飛行経路を特定し、マチェットで藪を切り開きながら7日間にわたって捜索。最後には無事に1カラットのダイヤモンドを発見し、安堵の声を上げたのです。

宇宙へ飛ばした想いは、きっと届く

これらのプロポーズに共通するのは、「失うリスクを冒してでも、相手に特別な思いを届けたい」という純粋な気持ちです。Shippee大尉の指輪はGPSのおかげで無事回収できましたが、もし回収不能になっていたとしても、彼の気持ちはMarieさんの心に確かに届いたことでしょう。現代のテクノロジーは、私たちに「宇宙まで想いを届ける」手段を与えてくれました。でも、プロポーズの本質はテクノロジーではありません。96,000フィートの高みから見た地球の美しさを、愛する人と分かち合いたいという願い。GPSの信号を頼りに、二人で畑を駆け抜ける時間。そして膝をついて「結婚してくれ」と言う、その一瞬の勇気。
あなたのプロポーズが、どんな形であれ、相手の心に届くものでありますように。